窓の外が、白々と明かりをさす時間。
 「ぅ…」
 爽やかに鳥が鳴き交わす朝にそぐわない、鼻にかかった声が薄闇に満ちた部屋に響く。
 「おもい…」
 「ん…」
 「…ふ…」
 ごそ、という音の後に『三つ』の声がそれぞれ交差する。
 「…おい……」
 嗜めるよりも、なだめる様な笑いを含んだそれは、おもいと最初に言った者のモノ。
 「D…重い…」
 「…ん…」
 D、と呼ぶと、それと同じ声が返答を返して、再び布団の中で衣擦れが起きた。
 「…D」
 「…ん─」
 「…ハァ。おい…キサマも、それ以上…くっつくんじゃねぇよ…」
 Dと呼ばれたほうの声は、くぐもっていつまでも不明瞭だ。
 結局、そちらを咎めることを諦めたように、もう一人の方に矛先を向ける。
 すると、短く唸る声がして、三つ目のそれが返答する。
 「…もう、すこし…だけ。…いいでしょう……?」
 シェゾ、と、自分を咎めている声の主の名を呼ぶが、三人目もDと同じように彼の言うことを聞く様子は無い。
 「馬鹿いってんじゃねぇ…。─ん…っ」
 「…アナタが………から、悪いんです、よ…」
 「言い、がかりは…よせ」
 「言いがかりじゃ…ないな…」
 「D…離れろ…っ」
 いかがわしい会話が暫し続く。
 シェゾはそろそろ焦ったように言を荒げ始めるが、二人に効果は無かった。
 「嫌だ、ね…」
 「お断りですよね…」
 「─っルーンロードっ…!てめ、…っぅ!」
 きしり、と、三人の乗ったベッドが軋む。
 シェゾが鋭く息を詰めると、二つの声がくすくすと笑った。
 苦しさに、そろそろとシェゾは息を吐いてそれから逃れるようにもがく。
 「く、ぅ、…っ」
 「…暴れるな……。落ちる、ぞ…」
 「落ち、ろ…!」
 「つれない事…言いますね…」
 「うぐ、……っこの…っつ」
 とうとう耐え切れなくなったのか、シェゾは『すぅっ』と息を吸い、そして一気にそれを吐き出したながら身を起こした。









 「キサマ等っ!部屋が寒いからって人にくっつくな!!!いい加減にしろっ!!!(怒)」









 怒鳴りながら、体の左右にくっついた二人をぞんざいに振り払う。
 「…ぉわっ」
 「っと、ととと…」
 振り払われたDシェゾとルーンロードは、勢いあまってベッドから落ちないようにバランスをとり、『なにをするんだ』と、シェゾを見やる。
 シェゾは、それをじろりと睨み返す。
 「毎朝毎朝人のベッドに潜り込むな!!んなに寒けりゃ暖房付けろ!!」
 「…お前の方が温かいし省エネにもなる」
 「抱き心地もいいし、湯たんぽみたいですよね。アナタ」
 「毎朝ガタイのいい男二人に抱きしめられて起きる俺の身にもなれ!!重いし息苦しいし…っ!キサマ等は俺を圧死させる気か!」
何だかもう少し突っ込むところがあるような気がするが、当人が気にしていないようなのであえてスルーするとして。









 とにかく、最近のシェゾは、冬の寒さに耐え切れない二人の男に力いっぱい抱きしめられ、その息苦しさによって目を覚ますのであった。









*END*


 ルーン:「(でも結構順応してますよね…)」
 Dシェ:「(この調子ならそのうち諦めるだろ…)」
 シェゾ:「…そこ。何こそこそ話してやがる」
 ルーン:「いいえ?(にっこり)」
 Dシェゾ:「別に…?(にやり)」
 シェゾ:「…お前等最近似てきたな…」
 ルーン&Dシェゾ:「…!!!(ショックだったらしい)」





 管理人より>楠月 誠様よりキリ番リクエスト

楠月誠様>はい。ルーン+Dシェ×シェです。リクエスト有難うございました!
 …なんだかなぁ。(笑)
 『Sexy,Sexy』を聞いてたらこんな話に。(笑)
 ちなみに『スキャット』は朝方の喘ぎ声らしいです。


PCUP=2004年4月6日


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