ラグナスとDシェゾが一つ屋根の下に暮らしてるという設定を念頭においてから先へ押すすみください。(笑)
「…?」
ラグナスがベッドから抜け出した丁度その時に。
「Dシェゾ〜?」
キッチンでごとごとと作業中のような気配を感じて、そちらへ向かう。
ひょこりと顔だけそちらへ覗かせると、Dシェゾが四苦八苦して…たこ焼きを焼いているようだった。
「…」
あんまりにも表情が真剣なので、とりあえず彼がこちらに気付くまで傍観を決め込む。
─最初のうちは危なっかしげだった手つきが、ものの五分後にはすっかり慣れたものになっていた。
その辺は流石だな、と感心していると、徐にDシェゾがラグナス振り返る。
「……いつまでそこにいるつもりだ?」
…どうやら気がついていたらしい。
幸い、調理の方も終わったらしいので、Dシェゾの隣まで歩み出る。
「君があんまりにも真剣な顔でたこ焼き焼いてたから、見てた」
「暇人……」
「放っといてくれ」
「……じゃあ放っておくか」
しれっとDシェゾは言い放ち、大量のたこ焼きを乗せた皿をラグナスから遠ざけた。「ぁ」とラグナスは声を上げる。
「…くれないの?」
「やらん……」
「……一人でそれだけ食べる気かい?」
「…………。」
ころ、と。
皿から零れ落ちるたこ焼きを指して、ラグナスが苦笑交じりに笑うと、Dシェゾはむぅっとした顔をしつつ皿を元の位置に戻す。
ラグナスは満足気にたこ焼きに手を伸ばしてつまみ食い始めようとした。
「…ちょっと待て」
が、しかし。それはDシェゾ自身の手によって阻止された。
「…え?」
「そっちじゃなくてこっちの方が……」
どうやらお勧めのたこ焼きがあるらしい。
Dシェゾは爪楊枝でいくつかのたこ焼きのける。
…どう違うんだろう、とか思いつつ見守っていると、どうやら発見したのかずぃっとラグナスに差し出してきた。
「…食え」
「…イタダキマス」
しかしこの状態でどうやって…。
Dシェゾの持つたこ焼きを見つめていると、Dシェゾが不意に口を開く。
「あーん。」
その時、ラグナスは確かに時間が止まった気がした。
「…………………………。あの」
「あーん、しろ」
「………………………………いえ、Dシェゾさん?」
「不服か?」
そういう問題じゃないんですよ。
喉元まででかかった言葉を飲み込む。
いや飲み込む理由はないのだが。
「…」
「…」
…暫し、見つめてみる。
Dシェゾも真顔で見つめ返してくる。
……しかし手を引っ込める様子はない。
諦めて、『あーん』でたこ焼きを食べる事にする。
「あ」
口をあけると、そこへDシェゾの差し出していたたこ焼きが放り込まれる。
「!ぅあちひ…」
「焼き立てだしな」
平然と言うDシェゾに、ラグナスはやや口内を火傷しそうになりながらもそれを租借し、飲み込む。
飲み下した際、目尻に涙が浮いたのはしょうがないだろう。
「…どうだ?」
「ん、美味しい…。…かなり熱かったけど。」
「贅沢抜かすな。こういうものは熱いうちが美味いんだ…」
まあ、ごもっとも。
それでも、やっぱり「熱すぎ」と苦笑すると、Dシェゾが愉快そうに笑った。
「…美味かったろう?ならいいではないか…」
「それは、まあ…。…ところで何でたこ焼きを」
「急に食いたくなった。…で…何かないかと思って漁ってみたら…あったから」
調理器具を指し、Dシェゾは自分でもたこ焼きをぱくつき始める。
そうされてつくづく、ラグナスは家に中にあるものをそろそろ把握しないといけないなと思ったのだった。
「それにしても…。起こしてくれれば俺が作ったのに」
あらかたたこ焼きを片付けて、ラグナスは酷い有様になったキッチンを見回して笑う。
「…。随分気持ち良さそうに眠っていたのでな」
だから、何となく起こせなかった。
Dシェゾが、ぼそりと続けて皿を片付ける。
その背中を見つつ、ラグナスは悟られぬよう笑みを浮かべて後始末を始めた。
おわっとけ!
管理人より>
某同盟チャにて出たたこ焼きネタ。
その時はラグVSDシェ(ラグシェ、Dシェシェ(ややラグDシェ?))だったが。
立派にラグDシェバカポーに大変身。はっ。(自虐的な笑い)
…色々スンマセンでした。
PCUP=2004年06月01日
モドル