アカイ。アカイ。

白銀の剣が、赤く染まる。




アカイ。アカイ。

剣の先の地面が、同じ色になる。














─アカク。
身体が染まった。


─アカク。クロク。
何もかもが染まって。






吐く息も紅い気がした。














息が治まらない。整わない。
ヒューヒュー音を立てて喉が鳴った。



見た手のひらが、紅くて。
頬を拭った手の甲が、紅くて。

どこを見ても、紅かった。









鉄臭い。紅色。














目の前に倒れた、その人から。

同じ匂いのする紅色が。

じわじわ地面を湿らせていた。














それが、何故だか。
今更になって怖かった。
さっきまでお互い、命の取り合いをしていたのだけれど。









─ナンデコンナコトニナッタンダ。









その人の隣に膝を付いて。
紅く濡れた冷たい手を握った。
ゆるく握り返してきた、その人の口は、掠れた声で訊いた。



















─ドウシテコンナコトニナッタ?







分からないから、首を横に振った。














アカイ。アカイ。アカイ。

その人の口元を濡らすそれも。
傷口から流れるそれも。

鉄臭い紅。

自分を濡らすそれも。
自分の傷から流れるそれも。














同じ。














…意識がオチル。
くらくらする頭が、もうじき自分が目の前の人のように地に倒れることを教えてくれる。


その人の瞳はもう閉じられていて。


─我慢せず。
その人に覆いかぶさるように倒れて。
手を、出来る限りキツク握った。








もう、離れることが無いように。



















アカイ赤い紅い。

鉄の匂いのするそこで。









アカイ赤い紅い。

血の匂いがする、そこで。




最後に呼ぼうとした名前は。
『ヒュ…』という、音になって、消えた。














…BAD END?…



管理人より>
暗いですね…。
一応最初はラグシェだったんですよ。そしたら書いてるうちに訳分かんなくなっちゃいまして。(えー)
ちなみに最後が『?』なのは…。
救い様が無いので皆様のご想像にお任せさせていただきます。

PCUP=2004年4月5日


モドル
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