いつの頃からか、甘い『それ』に依存するようになっていた。

 「おいD…」
 「ん…?」
 ソファで魔導書をめくっている、Dシェゾ。
 その背後から声をかけ、シェゾはその顔を覗きこんだ。
 同じ顔が、唯一違う深紅の瞳で見返してくる。
 言わずとも『何だ』と問う目に、薄く笑む。
 「ちょっと顔貸せ」
 「…無茶を言うな」
 「すぐに済む」
 「お前の『すぐ』は長引くから信用できん……」
 まあ確かに。
 すぐ、と言ってベッドに押し倒した事もあったが。
 だが、今回は本当にすぐなのだと繰り返し、強制的に頬を挟む。
 諦めたのか呆れたのか、軽く溜息を吐いてDシェゾは魔導書を離した。
 「…何だ?」
 「口開けろ」
 「…………本当にすぐなんだろうな?」
 「俺を疑うのか?」
 「……」
 『疑われるような事を散々してきたくせに』と、あえて言わずDシェゾは押し黙る。
 シェゾはそれに軽く訝しんだが、しかしそれ以上それを問い詰める事はなかった。
 さっさと自分の目的を済ませようと、頬を挟んだ顔を寄せる。
 軽く開いた唇を重ねて、いきなり暖かい口内を貪った。
 「っん!?」
 流石に驚いて呻くDシェゾに構わず、ただひたすら口腔を舐る。
 拒否するように引っ込む舌すら絡めて吸い上げ、『それ』を味わった。
 「ん、んー!」
 ばしばしと、堪えかねたようにDシェゾがシェゾの腕を叩く。
 その頬は既に紅い。
 それに促され、満足したシェゾはやっと唇を解放してやる。
 「ん、ゴチ」
 「っき、さま…何を……!」
 
 「お前とキスすると、甘くて美味い」

 「……………」
 Dシェゾの、キスに酔った目がいきなり点になる。
 シェゾは構わず続ける。
 「それがえらい癖になる味でなー」
 うんうん頷いているシェゾに、Dシェゾは固まったままそれを聞いていた。
 頬の朱が、段々と顔全体に広がっていく。
 「俺は割りと甘味は好きじゃないんだがな…」
 「……」
 「お前の味は好きだ」
 にやり、と、シェゾが笑む。
 Dシェゾはその笑みに顔を赤なり青なりに変えた後、顔を押さえてずるずるとソファからずり落ちる。
 それを追って、シェゾは更に笑った。
 「なあ」
 「……」
 ちら、と横目で自分を見やるDシェゾに、止めをさすように意地の悪い笑みを浮かべ。
 「甘味のある生活ってのも、割といいもんだな?」
 「……黙れ、変態魔導師…………」
 恥しげもなく言われたそれに、Dシェゾの報復の言葉は小さく消え入った。
 




 *END*

 管理人より>
 ぐはぁあああ甘っ…。誰か助けてください……(帰れ貴様)
 私の中では十分甘いです。
 こんなん甘いうちに入らんわむしろこれはただのェロよ!と言う人は…勘弁して(ォィ)


 PCUP=2004年10月13日
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