If you can dream it, you can do it.





 束縛があるからこそ
 私は飛べるのだ
 悲しみがあるからこそ
 高く舞い上がれるのだ
 逆境があるからこそ
 私は走れるのだ
 涙があるからこそ
 私は前に進めるのだ


 
 どこかに、死ぬ間際そんなことを言った奴がいるそうだ。

 

 ああ、まったくだろう。
  
 俺は

 『闇の魔導師』という『束縛』があるからこそこの空を飛び

 『輪廻』という『悲しみ』を抱いているからこそ高く舞い上がれ

 『運命』という『逆境』があるからこそ止まることなく走り続け

 そして 

 『孤独』という『涙』があるからこそ、ひたすらに前に進める。


 ─なら、この中の、どれか一つでも欠けたら。

 俺は、どうなるんだろうか。

 そんな考えた事もなかった。


 考える必要もなかった。


 闇の魔導という束縛は消して解かれる事はなく。

 輪廻という悲しみは消えることなく。

 運命という逆境には逆らう事は出来ない。

 これ故の孤独という涙すら渇く事はないと信じていた。

 

 けれど。


 なんだ、この様は?



 「シェゾ、相変わらず無愛想な顔して、また何か変な事考えてるの?このむっつり!」

 「だ、誰がだ!?」

 「あぁ〜ら、ホントの事なんじゃないの?ムキになるところが怪しいわよ〜?」

 「怪しくねえ!話を作るんじゃねえよこのバカ女!」

 「あぁ〜ら、…誰の事かし、らぁ!」

 「ゴフゥ──!!」

 「きゃー!イヤー!吐血しないでよシェゾのバカー!!」

 「うわっ、ルルー!何て事するんだよ、人様の家の床汚しちゃダメだろ!?」

 「キサマ等少しは心配しやがれェエ!」

 

 何なんだ、こいつ等は。

 何でこんなに俺に構う?

 そして


 何故俺はこいつ等と共に居る? 
  

 居る理由なんかない。

 …ないはず、だろ?

 じゃあ、なんでここに居る?

 ……。居たいから?

 ……まさか。


 でも。





 恐らく事実。


 
   

 …認めたくねえケド。





 「ほら、シェゾ。早く行こう!」

 「シェ〜ゾォ〜?いつまでぼ〜っとしてんのよ?置いてくわよ!」

 「あはは…。─シェゾ?どうかしたのか?」

 
 「…ああ」


 呼ばれた俺の名に返答しながら、前を歩くやつ等を追う。


 


 
 
 
 
 
 それから─、ふと。

 「”   ”…」

 そいつの名前を、呼んだ。

 呼ばれて、訝しげに振り向いたそいつに、苦笑を零して「何でもねえ」、と首を振った。

 




 ひょっとしたら、お前の所為で、俺はここに居るのかもな。






 
 …そんな事口が裂けても言わねえが。





 







 ─孤独が、欠けた。

 それでも俺は前へと進んでいる。

 依然としてそれは変わらない。

 何だ。案外平気なもんだな。










 なあ、非暴力主義を唱えた偉人さんよ。
 
 どうやら、アンタのいう「涙」ってのは、途中で欠けても存外先に進めるようだぜ?








 ・END・

 管理人より>
 星干ひとで様よりリクエストのシェゾメインのシリアス小説。
 …すいませんシリアス達成ならずです(逃)

  
 冒頭詩:byマハトマ・ガンジー 〔遺言詩〕

 
 PCUP=2004年6月26日

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