私、決めました。
 今日からグレます!





 セリリんの奇妙な一日。






 事の始まりは今日の朝でした。
 何気なく湖で遊んでいたら…。
 「あれが噂の人魚ですのね♪」
 「らしいな」
 ほとりの方でシェゾさんとウィッチさんの声が聞こえたのでそちらを見たら…。
 お二人とも、手に釣具を持ってらっしゃいました。
 …そしてあの言葉といい、まさか…。
 「…それじゃあシェゾ、早速捕まえますわよ
 「任せろ」
 網を持ったシェゾさんの目と、ウィッチさんの目がきらりと光りました。
 あれは間違いなく私を狙っている瞳です。

 「……!!!」

 私はその場から慌てて逃げ出しました。
 一心不乱に逃げたので、いつの間にか陸に上がってることも気付きませんでした。
 気づいたら街まで来ていて─
 後ろにはもう誰もいなくて、やっと安心…。

 …でも……。
 「酷いわ…。やっぱりみんな、私のことをいじめにきたのね…」
 そうよ、そうに決まってるわ…。
 やっぱり私なんか……。私なんか………。…あ。
 …そういえば。
 「確か…前聞いた話じゃ、『グレる』と苛められなくなるか…」
 さりげなく見回しても、確かにぐれていそうな人たちは苛められてないし…むしろ何だか偉い人みたいに見えるわ。
 「…そうよ、そうね。グレれば良いのね?」
 何でこんなことに気がつかなかったのかしら♪
 そうすればきっと苛められなくなるし、お友達も出来るかもしれないわ…vv
 そうしましょう!
 
 「決めました!私、今日からグレます!」



 ─うろこ魚人セリリ。
 何か間違いすぎている一世一代の大決意であった。




 Act.1 盗難

 「まず、グレる第一歩にバイクを盗みましょう…。歌でもあったみたいだし…」

 セリリは、びたびたと跳ねるように移動しながら街の駐輪所を通りかかった。
 駐輪所には折りよく人もおらず、絶好のチャンスである。
 「…はわあ…。
 何だかドキドキするわ…。
 でも頑張らなくちゃ。これが出来なければグレるどころじゃないもの!」
 …やはり何か間違っている様子である。
 が、まあそこは置いておいて。
 「これにしましょう。…ほかのは重そうだし…」
 そうして選んだのは、キーをかけ忘れたらしい─
 自転車。
 まあ、確かに、自転車もバイクというが…。

 セリリはいそいそと(というかびちびち)とその場を離れた。
 人の気配もしないし、どうやら成功したようだ。
 だがしかし、セリリはこの犯罪を選んだ時点で失敗していた。


 「……!」
 の…乗れない…。
 そうよ、私ったら足がないからバイクを盗んでも乗れないんだったわ…!
 

 Act.1 盗難 結果=戦に勝って勝負に負け

 しかし、セリリのグレるぞ計画はまだ続く。
 セリリは、めげずびちびちと跳ねながら次のステージへと向かった。




 Act.2 未成年飲酒

 「まだまだ…つ、次は未成年で飲酒を…!」

 「あ、すいませーん、ももも酒5つ下さい♪」←アルル16歳(未成年)
 「…!」

 …そうだったわ、この世界じゃ未成年飲酒は当たり前……。
 
 打ちひしがれるセリリに、世間の風は冷たかった。


 Act.2 未成年飲酒 結果=惨敗

 「ま、負けるもんですかぁ〜…」
 ぐすぐすと泣きながら、それでもセリリは次へ向かう。
 「次は無銭飲食を…っ」
 
 だんだんとランクが下がっている気がしないでもないセリリであった。










 「…はぁ……やっぱり私にはグレるのは無理なのかしら……」
 夕暮れの帰り道、セリリはすっかり肩を落としてとぼとぼ(びちびち)歩いて(跳ねて)いた。

 …ちなみに、Act.3 無銭飲食は、店が閉まっていたので諦めた。

 「……お家に帰りましょう…。きっとシェゾさんもウィッチさんも帰っているだろうし」
 なんだか哀愁の漂う背中を夕日に染めて、セリリは元の湖に戻る。
 …結局、彼女が今日一日の行動を「間違っている」と気づくことはなかったようだ。










 セリリの一日 終了

 「…はぁ」
 結局『グレる』ことは出来ませんでした。
 けど、なんだかとても楽しかった気がします♪
 「…また今度、改めてやってみようかしら…」
 そう考えるとわくわくするわ…vそうしましょうそうしましょう♪

 でも今日はもうこれでおやすみなさい、また明日…。
 










 「ところで一つ聞きたいんだが」
 「あら、何ですの?」
 「お前、人魚捕まえてどうする気だったんだ」
 「それはあなた、決まってるじゃないですの」
 「?」
 「ぱくっと頂きますのよ♪」
 「……ああ、そう」










 **おわっとけ**


管理人より>某日の絵茶ネタです。
 管理人のギャグセリリの隣にウィチ嬢とシェゾさんが出現したので、そこからぷち劇場が始まりました。
 その小説版です(爆)
 某氏へ捧げます(ぉ)



PCUP=2004年12月22日



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