このこわれたせかいに  おまえはなにをもとめるというのだ










 ─暗い闇から久方ぶりに見た『世界』は

 おそらく俺がこの深い場所に眠る前とは大分変わったのだろう


 眩むほどの光が差し、そしてその半面で同じ分だけ、闇が濃くなったろう



 崩れていく均一。




 ましてこの『世界』は人為的に時間を閉ざされ、永久に輪廻から抜けることの出来ない『世界』




 これを壊れているという以外、なんと表そう。
















 ─俺はある男に、尋ねた。
 この壊れた世界に、お前は何を求めるのだと。

 男は、俺と同じ顔をしていた。
 …いや。
 俺が、この男と同じ顔をしているのだ。
 
 しかし、男は俺と違い、その顔に感情を露にする。
 それは憮然と、そして俺に対する『理解不能』といった表情だった。

 男の答えは、それこそ俺には理解不能だった。


 ─何も求めてはいない。
 
 ─俺は、この『世界』なんてものに何かを望んだ覚えはない

 ─俺はいつでも、『確かにあるもの』しか望んでいない

 ─俺は


 ─『世界』なんぞに幻想を抱くほど、弱くはない。








 俺が、この世界を壊れていると思い

 そして、また

 この世界に何を求めるべきなのかと悩むのは

 俺が、あやつの言う様に弱いからか?










 …お前の目にはこの世界はどう映っているのだ
 神を汚す華やかなる者
 闇の魔導師よ。




 もしお前が言うように
 弱い者ほどこの『世界』に幻想を抱いているというなら
 この世界に、どれだけ幻想を抱いている者がいるのだろうな。






 「…俺もまたその一人か」



 ─この壊れた世界にお前は何を求めるのだ










 …もしかすればこの問は
 あの男へではなく
 俺自身への問いであったのかもしれない。





















 **E N D**


 
 管理人より>>かなり古いところから引っ張り出してきてみました。
 Dシェゾさんサイドでベラベラと。
 昔のはどうも先の見えない暗いものが多い…。

 PCUP=2005/09/14


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