どうせ、いつか消されてしまう「ニセモノ」なのだから

 今こうして存在しているこの時間を

 有意義に過ごしていきたい。




 どちらかが消されてしまうその時まで。




 どちらが先かは分からないけれど。




 いつかその時まで。
 一緒に、いれればいい。
 一緒にいられれば、それで、いい。
 それ以上の贅沢は望まない。

 オリジナルの目を盗んで、続く逢瀬。

 それは、とても幸福な、時。




 
 どうして、惹かれ合うかなんか考えた事も無かったけれど

 それはきっと似たもの同士ゆえ。




 いつか消される。
 いつか消える。
 
 そんなことは分かっている。 
 それでも、求める事を止められない。
 惹かれあうのをどうにも出来ない。




 ─でも。




 どうせいつか消されるなら、その時まで楽しもうぜ。
 せっかく似たもの同士逢えたんだから。
 せっかく、こうしてるんだから。




 そう、鳶色の瞳が笑うから。
 



 そうだな、と相槌を打つ。
 深紅の瞳が細まるのを見て、ラグナス・ビシャシの「別人格」─『ラグナス』が、歯を見せて、また笑った。
 シェゾ・ウィグイィィの「ドッペルゲンガー」、Dシェゾも、また、穏やかに笑って見せる。
 
 「一緒だよな?」
 「…ああ」
 「…俺達、一緒だぜ?」
 「ああ」










 「ずっと」が無いのは。










 それを約束するには自分たちの存在はあまりにも朧。










 だから、約束するのは「ずっと」でなく。










 『─いつか消えるその時まで。』















 …了…


 管理人より>葉月様のサイトの解説祝いにお贈りしたDシェ悪ラグ。
 いや、悪ラグかどうか自体怪しいのですが(ォイ)

 PCUP=2004年8月19日


 モドル
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