きみがわらうから




 銀色の髪に手を伸ばして、掬うように一束掴む。
 すると、青い目が俺を見て、笑った。
 くすぐったいと笑って、手を振り払う。
 じゃれるような振り払い方で、俺も笑った。

 頬に手を伸ばして、何となく撫でてみる。
 すると、表情を緩めて、笑った。
 何かついていたかと笑って、頬の手を見る。
 別に、と笑うと、そうかと返される。

 俺の銀の髪に触れ、青い目は笑っている。
 俺の赤い目を見て、愉しげに笑う。
 本人はじゃれているつもりはなさそうだ。
 ただ仕返しだろうと言って、頬を触った。

 「シェゾ」
 名前を呼ぶと、シェゾは何だと首をかしげた。
 「…なんでもない」 

 「『ラグ』」
 「ぅん?」
 「何でもねーよ」
 『呼ばれて』、反応してやるとやはりシェゾは笑っている。
 銀髪で、赤い目の俺を。
 黒髪で、鳶色の目をした男の名で呼んで。

 壊れた笑顔を浮かべた。


 シェゾの目に俺は映らない。
 銀色で赤い目の俺は映らない。
 やつの目には黒髪で鳶色の目をした男が未だに映っているのだろう。

 例えその男を俺が殺した場面を見ていたとしても。


 おまえがわらうから俺はこの状況を甘受する。


 静かに壊れた哀れなお前を、甘受する。



 END

 あとがき>Dシェorラグシェ(死にネタ)を、Dシェシェ→ラグ(死亡)でお送りいたしましt(ぅあ
   こんなヤワな人ではないだろうと思いつつ。





 PCUP=2007/05/04

 モドル
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送